先日、「日本の宇宙開発」産業を活性化させることを目的とすべしと書いたが、PDエアロスペース(株)より若干資料をもらったので補足。自動車は上位12社の売上高は49.19兆円(!)、AVデジタル家電はやはり上位12社で39.99兆円。造船重機は7.54兆円(ここまで2005年度)、携帯電話キャリアが8.5兆円(2004年度)。うーん、やっぱり数兆円規模に膨らませないと、活性化したとは言えないですね。

さて、先日は日本の宇宙開発の向かうべき方向性に関して書いたが、今回はその具体的な内容に踏み込んでいく。まず、宇宙開発において、一番の稼ぎ頭(直接投資を受けている部分)はどこかというと、この辺を見てもらってもわかるように、衛星の製造・打上・運用の部分である。ここの部分をどう伸ばしていくのか?と言うのが最重要課題と言えるだろう。それではここの部分を増やすにはどうすればよいのだろうか?
スプートニクが打ち上げられてから今日まで、約6000機の衛星が打ち上げられているが、延べ打上数では、日本は単独国としては世界第3位の打上数を誇っている(2006年現在)。しかしながら日本は1989年にスーパー301条により日米間の合意がなされ、日本が発注する衛星は国際調達にする事が決定した。これにより当時育ちつつあった衛星製造会社は大ダメージを受け、現在でも日本は「技術試験衛星だから国産で」という抜け道を使って国産企業を守っている。しかしこの結果、いわゆる実用衛星のラインアップを世界に提示できず、打上数は多いにもかかわらず、衛星市場では欧米の後塵を拝している。2005年時点で世界の衛星製造メーカーが製造中の衛星数は、欧タレス・アレニア・スペースシステム・ローラル社、米スペースシステム・ローラル社が共に19機、米ロッキードマーチン・コマーシャル・スペース・システムズ社が16機、米ボーイング・サテライト・システムズ社が12機、欧EADSアストリウム社が10機であり、これら大手5社で世界シェアの80%を確保している(エコノミスト調べ)。
このような状況の中で、日本が受注の拡大を目指す為には以下のような施策が必要である。

『トップセールスによる振興国際市場の確保:アジア太平洋・旧ソ連周辺国・東南アジア・南米・アフリカ等の経済新興諸国には、多くの衛星需要が存在している。これら諸国での衛星需要を見極めるための調査機関を設置する。衛星およびその活用に詳しい人材を配置し、これら「宇宙開発新規参入国」に対し、個々の国の実情にあわせた需要を発掘する。国家としてトップセールスを行い、これら諸国に対する打上サービス・衛星の販売、教育的支援を実施し、国内産業の保護と国際競争力の育成に努める。』

これを実践するためには、国と民間企業による協力体制が不可欠である。具体的にはどうするのか?

  • 衛星製造技術者OBを中心に十名弱のトップセールス部隊を創設。
  • 経産省のかけ声の下、商社がバックアプして、上記技術者をそれぞれ経済振興諸国に派遣。各国の需要にカスタマイズした衛星の提案を実施
  • 最後は大臣/総理のトップセールスによって衛星販売
  • このような流れが必要不可欠である。ここで商社の存在意義だが、海外では様々なトラブルが発生する。これらに対し、迅速な対応が出来る訓練を受けているのは商社マンである。それで、商社が本当にバックアップに廻ってくれるかと言えば、これは国が責任を持って最後まで実施する意思を示すことが重要である。このあたりの一連の売り込み・販売の流れは、新幹線を海外に輸出したときの手法が大いに参考になるだろう。
    しかしこのプランの実現には大きな問題がある。一つは、国内の衛星製造業者が苦労して海外市場を開拓したいと思うかどうか?である。宇宙基本法が制定され、宇宙産業の振興を目的として、政府が国内企業に今後10年間で20機とかの衛星発注を保障したとしたら?それでいいや、と思ってしまうのではないか?
    二つ目は政府のやる気である。前線部隊はやる気満々なのに、殿様が逃げ腰になれば一気に前線は崩壊する。実はここが一番アヤシイ。問題はアメリカである。アメリカにとっての宇宙開発は、日本にとっての道路と同様、巨大な公共投資事業である。その為に、1989年にアメリカはスーパー301条の発動をちらつかせて、日本の国内市場の開放を求めたのである。(自動車産業を犠牲にしても、だ)日本がこのように、トップセールスによる海外市場の確保に走ったとしたら・・・・アメリカは面白いと思うだろうか?このあたり、日本の政治家は「日米合意も有るからねぇ・・・むにゃむにゃ・・・」と尻すぼみにならないか?
    三つ目。その3以降では、別のアイデアを述べる予定であるが、今回のこの提案だけ、実行者の顔が見えないのだ。それは僕が衛星製造メーカーに知人が少ないのを示しているだけかも知れないが、これは大きな不安材料だ。他のプランは「みんなが尻まくって逃げてもおいらはやるぜ」というプレーヤーの顔が浮かぶ。しかし・・・このプランに関しては、浮かんでこない。

    実は日本の宇宙開発産業を、飛躍的に活性化させるアイデアとして、この提案意外に良いアイデアを思いつけていない。しかしこの提案には上記のような3つの不安が存在する。というところで、本日はおしまい。次回にまたご期待。

    ・日本の宇宙開発は何処に向かうべきか? その2

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