これはどのセッションが、、、というよりも、今回(も?)話していて一番感じたことです。まぁ今まであんまりこれに関する僕の本音の部分は言わなかったんだけど、今回は幸いにして学生諸氏とじっくり話す機会があり、そこでも話しちゃったので書いちゃうことにします。
宇宙教育は何のためにするのか?というのは、実はよく考えてみないといけないテーマです。もっとも簡単な答えは”宇宙関連技術者の養成”だとか、”宇宙に興味を持ち、宇宙開発を支持する層を増やす”だとか、そういう事かと思います。後者はまぁ良しとして、もし前者を指向するのであれば、それはかなり欺瞞に満ちていると思います。なぜなら、宇宙関連産業はとてもとても狭い世界だからです。そこに用意されたポストは限られており、既に今、その分野で働きたいと思っている学生達も、もはや吸収できない状態になっているはずですから。にもかかわらず”宇宙に行く仕事って楽しいよ。君も宇宙分野においでよ”というのは、実はちょっと無責任だと思います。
一方で、先の教育センターの例のように、宇宙を導入素材などに使用する、宇宙を学ぶことによって、もっと深いところにある別の何かを学ばせるという考え方もあります。実は秋田大で実施しているのはこの考え方に基づく教育で、我々の信条は”宇宙というツールを使い、学生達が自ら目標を設定し、それを達成する過程に於いて問題解決能力のみならず問題発見能力を養うことにより、工学基礎力向上を図る”というものです。今回も高校の先生達から、生徒達からすぐに”で、どうやったら出来るんですか?”とか、解答編を求められるとの指摘や、あるいは実験に関しても”どうせ結果がわかってる実験なんだから、いっそ派手で面白い実験を御願いしますよ”と言われるなどの話しがありました。これ、問題解決能力のみを高める教育をしてきた結果であると我々は考えています。最終目標を提示し(出来れば自分達に提示させ)、それを実現する過程にはどんな問題があるのかを自分達で見つけさせる。そしてそれを克服する手段も考えさせる。これによって、真に社会に出て役に立つ人材となると我々は考えています。そういう意味で、学生宇宙開発は我々にとってはある種の導入教材、ツールに過ぎないのです。もしも僕が入社試験の面接官だったとして、受けに来た学生が”僕は学生時代に人工衛星を作りました!”とか言う奴だったら落とします。”残念だねぇ、うちは人口衛星作る仕事じゃないからね”と。しかし、”僕は学生時代に、人工衛星を作り上げることにより一つのマネージメントを完了させ、その過程でものづくり・組織のあり方を学んできました”という学生が居たら、それは是非とも取りたいと思っています。
一方で、僕が最近やっている仕事というのは、、、例えば能代宇宙イベントを開催することにより、全国の大学生達に宇宙開発を実践する場を提供したり、様々な予算を獲得することにより学生の活動資金を調達したり、そんなことをやっています。また今回、JAXAがH2Aへの”あいのり”衛星の募集を始めるなど、実に様々な分野で学生達の宇宙開発活動をサポートする活動を、”大人”達は展開しています。他の”大人”が何を考えているのかは知らないですが、僕に限って言えばそれは”無責任に宇宙工学者を量産しているのではないか”と思われるかも知れません。ええ、実はそうなんですよ(笑)僕が今、一番狙っていることは何かというと。。。。例えば毎年能代宇宙イベントに300名もの学生達がモチベーションを高めてやってきたとしましょう。おそらくその周辺にも、来たかったけど来れなかった学生達も居るだろうから、まぁ500名とか600名もの学生達が、宇宙に熱い想いを抱き、宇宙関連分野で働きたいとの想いを強くしているのだと思います。しかし、先にも言ったようにそのほとんどは、宇宙関連分野に就職することは出来ません。どうなるか?どうもならないんですね(^_^; 夢かなわず、宇宙とは関係のない分野に散っていってしまうわけです。そんなことをわかってるからか、最近UNISECのOB、特に宇宙関連分野に進んだOBから情報を集めて、出来るだけ有利に宇宙関連分野への就職を目指したいと考えている学生が多いように僕には思えます。(もっともこの点に関しては、今回多くの学生から必ずしもそういうわけではないとの反論を戴きましたが。)でもねぇ、、、UNSECの学生達は、そんなにつまらない学生達だったのか?そうじゃないだろ?と僕は思っています。ある意味、君達はすごい世代です。だって僕が学生の頃、誰かに宇宙に連れて行って貰おうと思っていたもの。宇宙を目指す組織に乗っかることによって、宇宙にいこうとおもってたもの。でも君達は、自分達の手で宇宙を目指そうと一歩を踏み出し、そしてそれを継続して育てていってる世代だもの。だからこそ、僕は君達に驚嘆し、その活動を支援することが僕の責務だと強く信じているのです。
すなわち、僕が生み出している?状況とは何かというと、、、”既存の枠組みでは宇宙関連分野の仕事につけなかった”宇宙浪人を多量に生み出している状況だと思っているのです。あえて宇宙”浪人”と書いたのは、”浪人”というのは”志を持った”人間であるという意味です。自分には志があるが、現体制に於いてはそれがかなわない。しかしだからといって現体制に組みするのを潔しとしない人達。そういう”宇宙浪人”です。”宇宙浪人”が市中に溢れたときに何が起こるのか?まさに多くの浪人が闊歩していた幕末に、何が起こったか?そう、この”宇宙浪人”達が、現体制を打破していくと、僕は信じているのです。UNISECに参加し学んだ学生諸氏の中には、その意思も気概もあると僕は信じています。
もちろん、もちろん、送配って最中にはいろいろ学生が居ますけどね(^_^;我々教員サイドは、学生達がより宇宙開発活動にいそしめるように、様々なリソースの確保に尽力するのは当然だと思います。でもね、教員がリソースを取ってきたら取ってきただけ、そのリソースを”無駄遣い”するような学生にはなって欲しくないんだよねぇ。。。そういう意味では今回、八坂先生が”あいのり衛星も原則然るべきコスト負担をすべき”と言われたのは、僕は卓見だと思いました。

ま、いろいろと書きましたが、楽しかった。ホント、楽しい学会でした。感謝。

・学生の宇宙開発活動/宇宙教育に関して

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