僕の手元には小さい頃に読んだ本が何冊か残っている。3人兄弟妹だったが、兄の所にも妹の所にも取られずに手元に残すことが出来た本だ。いずれも思い出深い本だけど、振り替えると今の自分のやっていることに大きな影響を与えている本ばかりであることに驚かされる。
その中の一冊がこの、「モグラ原っぱのなかまたち」だろう。小学生の子供達が、「モグラ原っぱ」と呼ばれる原野で遊んだお話しだ。
まぁ詳細は是非読んで欲しいんだけど、お話しは全部で10話有り、「校長先生はこわくない」から始まり、「先生の目はエックスせん」「モグラごう空にうかぶ」「なくしたカギ」「男の子のひなまつり」「すて犬チャロ」「発明発見ものがたり」「日曜日の家出」「ドーナツ池のドーナツ丸」と、おもに「モグラ原っぱ」と呼ばれる未開発の原野を舞台としたお話しが続く。そして最後に、「モグラ原っぱ、さようなら」というお話しで終わる。

思えば、あの当時読んでいた沢山の本、「もりのへなそうる」しかり、「わんぱく天国」しかり、もっと言えば「二年間の休暇」も「神秘の島」もそうだけど、そこに描かれているのは大小様々な冒険物語で、そこには様々な自由な空間が広がっていた。
いろんな事を考えて宇宙教育なんて事をやって来ているけど、そうか、僕が実現したかったのは、あの頃からずっと僕が捜していたあんな自由な空間を作り出して、そこで大暴れできる人を作ろうとしていたんだなぁと、あるときふと気がついた。

引用としてはぎりぎりの分量かともおもうけど、「モグラ原っぱのなかまたち」の最後の一節を引用する。
『それから一年。
モグラ原っぱの赤土のがけは、もうありません。フクロウ森もなくなりました。かわりに十むね、二百戸のコンクリートのたてものがならんでいました。
この小さい団地のはずれに、小さい林があり、小さいおかがあり、小さい池がありました。林の入り口に”モグラ公園”と書いたふだが立っています。
四年生のなおゆきたち四人が歩いていくと、このあそび場で遊んでいたい小さい子に、その子のおかあさんがおしえました。
「あのにいちゃんたちが、この公園をつくってくれたのよ。」
なおゆきたちは、そのおかあさんのことばをきくと、いそいで走りだしました。おかあさんにきこえないところまで来て、あきらはどなりました。
「これが山か!これが森か!フクロウもいないし、カブトムシもいないじゃないか!市長のうそつき。」
「でも、ないよりはずっとましよ。わたしたちがああしなかったら、そして一郎くんや、でぶあきらくんや、洋子先生や、おかあさんたちがたすけてくれなかったら、もっともっと小さいあそび場しか、この団地にはなかったもの。」
なおゆきとかずおはだまっていました。あきらのいうことも、ひろ子のいうことも、両方ともほんとうだと、ふたりは思いました。
四人はまた歩き出しました。四人の頭の中には、一年前、洋子先生の電話を待っていた日に見た週刊誌の、未来の世界のことがうかび上がっていました。
三十かいだてのビルのむれ、新幹線よりもはやいモノレール ー だが、その世界にほんとうの森があるのでしょうか。四人とも、そううたがいはじめ、のどがかわくほど、ほんとうの森のある世界がほしいとおもいはじめていました。』

なおゆきやかずお、あきら、ひろ子がその後、どんな人生を歩んだのか、それはもちろん物語には出てこない。
でも、と思う。僕はモグラ原っぱのなかまの一人として、今を生きてるんだなぁ、と。
なおゆきやかずお、あきら、ひろ子に、いつか出会えることを、心から願いながら。

・モグラ原っぱのなかまたち

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・モグラ原っぱのなかまたち” への1件のフィードバック

  1. お気に入りの絵本や児童書はたくさんありますが、もりのへなそうるとモグラ原っぱのなかまたちは知りませんでした。さっそく読みました。大笑いして、そして胸がキュンってなりました。
    私も、ささやかな人生、毎日旅してるような、寝る前に今日も面白い一日だったなあって、人生の冒険楽しんでいます。
    そして、へなそうるは、こども達は、本当にシンプルで、しあわせって、何ももたないで分かち合うことなんだな~って、ついいろいろもってしまうわたしは、思いました。へなそうるに、会いたいな。
    ところで、話しは変りますが、ずいぶん前に、東海村臨界事故はあきあきさんをを突き動かしているものの一つ、って読んだ記憶があります。
    あきあきさんは何を突き動かされたのですか?知りたいな。お教えいただければ、幸いです。よろしくお願いします。

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