今日の毎日新聞の一面トップは、はやぶさ2の予算がピンチ、らしい。確かに「はやぶさ2」の予算はピンチである。記事にあるとおり仮に予算が通ったとしても、70億円の予算が大幅に減額されたりすると計画通りの打上はピンチになるだろう。また「はやぶさ2」がぽしゃれば、次の大型探査計画がまとまるには5年以上はかかるだろう。そうすると日本で探査をやって来た人達は四散し、その再建にはもっと長い年月がかかると思う。
しかしこの記事はなんだか変である。読んでみると「はやぶさ2」の予算が通らないのは『一方で同調査会[←宇宙開発戦略本部専門調査会のこと]は、文部科学省が進める「はやぶさ2」(要求額73億円)などの科学衛星や陸域観測技術衛星「だいち」の後継機(同約200億円)については準天頂衛星より重要度が低いと判定した。』と述べている。結果、記事を読んだ人は『「準天頂衛星」(約41億円を計上)のせいで「はやぶさ2」の予算が通らないんだ』と思うだろう。しかしこれはなんだかちょっとおかしい。

まず平成24年度の宇宙関連予算一覧を見て欲しい。各省庁から予算要求が出ており、「準天頂衛星」・「はやぶさ2」共、「日本再生特別枠要望分」として出ている。しかし「準天頂衛星」は内閣府から、「はやぶさ2」は文科省から出ている。
宇宙基本法やその後の専門調査会の答申では、現在の日本の各省庁ばらばらの政策立案・予算申請を改め、内閣府に置く中核機関に『各省庁に対する予算の勧告権を与える』べきだと述べている(9ページ下段、薬師寺委員の発言参照)。しかし現段階ではそのような権限が与えられていない。記事ではあたかも専門調査会の判断で「はやぶさ2」の予算が減額されるような書き方がされているが、現時点では専門調査会は其所まで踏み込めていないというのが実情である。
そうすると何故「はやぶさ2」の予算が通らないのかと言えば、それは各省庁の同じ項目の予算の中で優先順位が高くないためだろう、というのが妥当な観測であると僕は思う。すなわち、「はやぶさ2」にとってライバルは内閣府から出ている準天頂ではなく、同じ文科省から出ている「地球観測衛星網の構築[227億円]」「宇宙太陽光発電システムの研究開発[4億円]」「X線天文衛星(ASTRO-H)[13.5億円]」「回収機能深型宇宙ステーション補給機(HTV-R)[9.5億円]」のはずである。
記事ではこの点をミスリードしているのではないかと僕は思う。確かに、「準天頂」VS「はやぶさ2」と書くのは、なんだか一般受けしそうで記事としては書きやすいのだろうけど、それは議論が矮小化されてしまっている。だからこそ、こういった「ばらばら」な宇宙政策にならないために、省庁横断的に総理直轄で意思決定を行い実現できる組織を作ろうよ、と言うのがこれまでの話しだったと思うわけです。

で、これが何故重要かと言えば・・・
既に『政府に声を上げていこう』という流れが出来はじめているけど、対象を間違えちゃ効果が無いですよ、って事です。すなわち、戦略本部事務局や、専門調査会に意見を上げても、あんまり意味がないということ。おそらく彼等は、「少なくとも今年度は、自分達は各省庁横断で予算編成をしていない。「はやぶさ2」を通したければそれはその所管省庁が強く主張をすべき」という判断をするでしょう。とすると嘆願を出す先は文科省、宇宙開発委員会、そしてJAXA宛にとなるわけですが、、、残念なことにおそらく時間が足りない。タイムリミットは結構もうすぐそこです。
12月の末には予算の内示が財務省から出るので、それまでの文科や宇宙開発委員会・JAXAが動いて、なおかつ財務省と交渉を成し遂げなければならない。しかしそれは日本の官僚機構の意思決定速度を考えると、現実問題不可能でしょう。「はやぶさ2」予算が通らない or 大幅減額された形で12月末をもし迎えてしまったとしたら、これ以降だと文科大臣と財務大臣の大臣間直接折衝によって復活するしか道が無くなります。しかしこれはかなりハードルが高い。です。じゃぁどうするか?
一つの抜け道は、今回の予算が日本再生特別枠要望分で出ている点にあるかも知れません。すなわち、この予算の性格上、各省庁の意見よりも与党・政府がどう考えるかが重要になります。官僚と言うよりは政治家が対象って事です。
実際、与党・政府間でも「日本再生のために何を重点項目とすべきか?」との摺り合わせが、今週中に行われるとの話しを聞いています。それを受け、来週には宇宙以外の他の分野も全部ひっくるめて重点項目が決められ、それを受けて財務省が最終判断をすることになるでしょう。
そうすると、やるとしたら今週の早い内に与党・および政府、まぁとりわけ野田総理に対して、様々な声を上げるのがもっとも効果的なんだと僕は思います、ハイ。

是非、記事にミスリードされた対立構造で論じるのではなく、「日本再生特別要望枠」としての「はやぶさ2」の重要性をこそ、主張していただきたいと思います。

・はやぶさ2の件

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