ところで先日は3党協議会が、今回の震災を踏まえて「準天頂を整備すべし」と言ったのに対して、JAXAの立川理事長は「JAXA、地球観測衛星「だいち」後継機の打ち上げを1年前倒しへ」と述べている。では何故、3党協議会はだいちではなく準天頂を推したのだろう?
今回の震災で明らかになったことはなにかといえば、「衛星の能力」の善し悪しというよりも、「実利用」の一点に尽きると思う。たとえば「だいち」が3機上がっていたとしたら、観測頻度は上がっただろう。準天頂然り、である。必要な事は「実利用」なのだ。しかし実はJAXAは「実利用」には踏み込めない。JAXA法で「JAXAがやるのは研究開発」と明記してあるからだ。理事長は研究開発の延長として、だいちよりもさらに進化したALOS-2を、そしてさらに開発を進めたALOS-3を打ち上げようと言っているのだが、しかしこれは研究開発衛星であって、後が続かない。じゃぁALOS2,3の寿命が尽きたその後は?やはり新規技術開発を盛り込んだ(すなわち製作費が開発費も加わって高くなる・いつまでも撮った画像を売る方にはウェートが行きにくい)衛星を作り続けるのか?という話になる。なので、もしやるとしたら、「JAXA法を改定し、だいちシリーズの実用配備を進める」と言えれば良かった。でも残念な事にそれはJAXA理事長の立場からは言えない。だって理事長は「こういう枠組み(すなわちJAXA法)の中で最善を尽くしなさい」というのがルールだから、それを変えるのは中の人には無理なのだ。
じゃ、なぜ3党協議会はそう言わなかったのか?実は、「だいち」でやるようなことを実用化するシステムを日本は他にも持っている。すなわち、情報収集衛星だ。国としては「だいちの機能は情報収集衛星にも反映させて実用化し、有事の際は必要があれば性能の最高値は隠したまま、必要なレベルに落として情報を公開」すれば事足りる。また、宇宙関連の市場を調べてみると、地球観測衛星のデータ市場はものすごく小さい(もちろんこれから新しい市場を創り出す、という解がないわけではないが)。一番必要なのは、こういう有事の際に国や公的機関が、採算度外視しても欲しがるような場合だ。

一方、準天頂はどうなのか?じつは今現在、宇宙関連で市場が大きい・すそ野が大きいのは、通信放送と測位の分野なのだ。今回、先日書いたような防災機能を持たせた準天頂のシステムを日本が構築できたとすれば、これは海外にも売り出すことが出来る可能性が大きい。だから3党協議会は「だいち」ではなく「みちびき」の実用化を打ち出したのだと僕は考える。

そう考えると、宇宙基本法を作った3党協議会の精神は今も健在であることが良くわかる。あの頃からずっと、今に至るまで、彼等は「実用」に裏打ちされた日本の宇宙開発の在り方を模索しているのだといえるだろう。
いや、僕もその意見には賛成なんですけどね。

・なぜ「だいち」後継機じゃないのか?

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