6月20日に宇宙関連法案が成立したことを受けて、いよいよ新体制が設立される。
具体的には以下の内容が実施される。

  • 内閣府に宇宙戦略室設置。
  • 宇宙戦略室に宇宙審議官が置かれる。
    実質、この宇宙審議官が日本の宇宙開発に関する官僚のトップとなる。
  • 文部科学省の宇宙開発委員会が廃止。
  • 内閣府に宇宙政策委員会が設置される。
    宇宙戦略室の設置・宇宙開発委員会の廃止後、すみやかな設置が求められるが、実際は1ヶ月ぐらいかかるのかな?
  • 政策委員会を補助する各種部会の設置。
    これらはもちろん、政策委員会の発足後となる。
    どのような部会が設置されるかはまだ未定。
  • ここまでは既定路線であり、粛々と準備が進んでいると思われます。
    ではこの後、何をすべきなのか?
    これは僕の予想や希望を含んでいますが、それは以下の通り。

  • 平成25年度予算の各省庁における宇宙予算の調整
  • この『予算に関する勧告権』というのが、今回の改革の一つのポイント。
    宇宙戦略室が主導し、宇宙政策委員会が総理大臣を通じて各担当大臣に勧告できる。
    これにより、政府が行う日本の宇宙開発プロジェクトの全てが一意に意味を持つ物となることが出来る。

  • 宇宙基本計画の改定。
  • 現在の宇宙基本計画は自民党政権下で半分が作られ、まとめの段階では政権交代のごたごたで、政府のきっちりとした調整を受けないまま、各省庁や関係機関の要望等がスリム化されることなく入ってしまっていて、現状とはそぐわない内容となっている。
    平成25年度予算は、宇宙審議官の指導の下、各省庁連携して作られていくことになると思うけど、官僚組織に「方向性をこうすべき」という指針を与えるのが、各種提言だったり基本計画だったりするわけで、その基本計画がしっかりしない中で各省庁が連携して予算編成をしようとしても、それは話がまとまらない。
    もっとも各省庁から予算原案が財務省に出るのが8月31日。その後、各省庁と財務省の折衝の後、政府予算原案が出るのが12月末。
    12月末頃には基本計画の大筋の内容は決まっているかも知れないけれど、8月末ではまだ出ていないと思われる。そのため、なるべく早く宇宙政策委員会を立ち上げ、宇宙戦略室・宇宙審議官との調整により、基本方針を固めていくことが重要になる。
    また新しい宇宙関連法案では、JAXAの中期計画は宇宙基本計画と整合の取れた内容とすべし、と書かれている。
    実はJAXAの中期計画は、来年度からが新規の5年間となる。その為にも宇宙基本計画は早期に書き換えられねばならない。

  • 巨大プロジェクトの方針決定
  • ここはテクニカルな話題になるんだけれども、例えば「はやぶさ2」というのは現在、文科省設置法の範囲内で実施する「理工学ミッション」と位置づけられている。
    しかし例えば本年度予算で、要求額の70億円に対して35億円しか取れなかったというのは、「文科省設置法の範囲で考えると、他との調整の結果、現時点では35億円しか付けられない」という事だ。
    物事の価値というのはその時代の状況を踏まえて相対的に決まるので、小年度で言えば、「日本再生枠」という枠内で競合となった「地球観測衛星」と比べれば、3/11の後の状況としては「はやぶさ2」は半分に削らざるを得なかった、と言うことだろう。
    来年度予算でも同様の事が起こる可能性は否定できない。
    一方で、「はやぶさ2」には、「日本が世界に誇るフロンティア開発の最前線」という、『国家プレゼンス』だとか『国威』だとか、そういった『探査』に係わる要素があり、この『探査』は必ずしも文科省設置法の範囲内に納まる話しじゃないよね?と言うこともある。
    これまでは、各省庁で縦割りになっていた宇宙開発のため、各省庁設置法の範囲を超える部分に関しては、予算化が非常に困難だった。
    しかし今回、宇宙戦略室が設置されるに伴い、「国家方針として」、各種プロジェクトに意味合いを付けることが出来れば、この制限が撤廃されることになる。
    その為にも、宇宙政策委員会の下で、フラッグシップとしての巨大プロジェクトにはお墨付きが付けられる必要があるとおもう。
    この検討も、早々にされるべきだろう。

    こういったことが政府内で進められていくわけだけれども、では我々は何をすべきなのか?
    43年間続いた宇宙開発委員会の時代が終わり、我々は宇宙の利用に対して大きく舵を取ろうとしている。
    そのことの意味は何なのか?
    過去は我々の新しい未来にどのような示唆を与えてくれるのか?
    そのことを、我々は充分に考え、新しい道を歩み出さなければならない。

    6月24日には関西で、学生団体 【Noti’s】主催の『宇宙産業シンポジウム』in京都が開催された。
    また私が面倒を見ている、関東の学生を中心とした宇宙政策ゼミのメンバーも近々、都内で「宇宙政策オープンゼミ」の開催を予定している。
    こういった会合を通じて、過去と未来をどう考えるのか、みんなの理解を深める事が重要だと思う。

    それと同時に、例えば宇宙戦略室と各省庁の宇宙関連予算の方針が示された時や、宇宙基本計画の方向性が示されたときに、産官学の関係者が一同に会し、議論を戦わせ、意識の統一を計っていくことが重要だと考えます。
    過去2回、旧有識者会議のメンバーは「タスクフォース会議」(100人委員会)を開催したが、今後も上記のタイミングで、また皆さんにお声掛けをして、こういった会合を開催したいと思っています。
    ちょっとまだ様々な時期が確定しない状況なので御案内を始められないのが大変申し訳ないのですが、少なくとも2週間前には連絡をしたいと考えています。
    その時にはまた、ご参集いただき、お力を貸していただければと思います。

    今回の法改正で、日本は世界でももっとも先端的に、宇宙を国家のソフトパワー体現の方法として利用できる体制が整ったのだと思っています。

    さぁ、ここからがスタートです。

    黎明期より宇宙開発委員会の強いリーダーシップの下で輝かしい宇宙開発の歴史を作ってきた先達に恥じない、
    新しい日本の、そして世界に開かれた、人類発展のための宇宙開発を、共に進めていきましょう!

    ・新体制設立に向けて

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