引用元がアレです(だって他紙さん、記事書かないんだもん。書いてくださいよー>記者の皆様)が、JAXA法改定案 きょう審議入りという記事が出ています。
まぁこの記事では「宇宙軍拡の流れ」云々と書かれていますがそこは全然本質ではなくて(その部分の結論は既に宇宙基本法で決まっている)、「サステイナブル」な日本の宇宙開発に向けて、もっと簡単に言えば、税金によって成り立つ宇宙開発から、産業の振興と我が国の国際的競争力の強化に役立つ宇宙開発に変えるために、動きやすいように体制を変更しよう、と言うのが今回の動きです。
内閣委員会で近日、質疑等も行われると思うので是非見たいんですが、予算委員会と違ってテレビ中継はないですよね、きっと(^_^;
インターネット中継に期待。

ちなみに今日の日経でJAXA、宇宙船に廉価版 打ち上げ費3分の1という記事が出ていて、紙面だとその下に米は官民で役割分担 日本の独自戦略、策定急務という記事があり、そこで「宇宙開発には官の働きが欠かせないが、国の方向性が決まらない分だけ」云々と書かれてますが、そんなことはない、と思います。
政治が決まらないから官側はじーーっと待っていただけで、
しかもただ待ってるだけじゃなくて、新しい体制の中でそれぞれがどういう役割を担うのかを、じっくり考えて、考えて、我慢してたんだよ、と思うのですが、いかがなもんですかね。

例えば僕がやっているUNIFORMプロジェクトは文科省の肝いり事業です。
そこには文科省のこんなストラテジーがあります。

  • これからのサステイナブルな宇宙開発を支える一つの手段として、世界各国と連携した衛星網の構築・データ利用の促進があり得る。
  • しかしこういった世界的な連携には、強固な人的ネットワークが必要不可欠。
  • そのためには大学等による国際交流は有効な手段。
  • これまでエージェンシー(JAXA)中心でやって来たSTARプログラムを引き継ぎ、大学中心のUNIFORMプロジェクトを推進
  • 大学を通じた各国へのキャパシティービルディングによる人脈形成により国際連携の基盤を構築すると同時に、我が国技術の国際標準化を推進
  • 衛星網の構築、およびデータの相互利用を推進し、新しい産業化の端緒を開く。
  • 現在先進各国は、大型地球観測衛星の製造・打ち上げ・運用などの巨額な出費にあえいでいるが、こういった新興国も参加した衛星網を使った新しい地球観測手段が出来れば、従来の「先進国から発展途上国にお金が流れる」というグリーンイノベーションまでも革新的に変えていける
  • とまぁこんな具合です。
    従来の科学技術の振興や研究・開発・教育に加えて、産業化にも新しく重点を置く今後の日本の宇宙開発においても、マーケットが国内ではなく海外にある宇宙分野においては、文部科学省や大学の役割はまったく減じることなくより重要さが増す、と僕は考えています。
    これまでの重要な事項もきちんとやる。その上で、世界と日本の状況の変化に合わせて、新しい戦略・戦術を構築する。
    そのための努力を現在、産官学が力を合わせてやってるんだけどなぁ・・・・

    ま、そのためにも、法案成立率が20%台とか30%台とかはホント、勘弁して欲しいんですけどね。
    たしかに色々と難しい局面ではあるわけですが。。。。

    上記のUNIFORMはほんの一例で、内閣府(内閣官房)・文科省・経産省・
    外務省も、それぞれいろんな事を考え、次の計画を練ってると思います。
    頑張ってる人達が居るのにそれを見ないで「ダメだダメだ」と書いてないで、是非、日経の記者さんもそのあたりをきちんと取材して貰えればなーと思います。
    僕ならいつでも取材に応じますよ(笑)

    (おまけ)
    ところで先日未明のH2Aの打上の時に、前日に「もし打上に失敗したときなどにコメントを貰いたいので夜中に電話しても良いですか?」と聞いてこられた記者さんがいました(笑)
    思わず、「成功したら電話取材されないんですか?」と笑って聞き返したら、「いや、あの、その・・」と言いよどんでられましたが、実際に成功して電話連絡がなかったのにはもっと笑いました。
    というか、その日は丁度夜中まで飲んでいてニュース見れなかったんですが、電話がないから成功したんだろうなーとわかって助かりましたがw

    失敗したら僕が辛口のコメントを言うだろうという予測で、そういう役割分担で考えられてたんだとは思いますが、そういう予定調和な記事ってどうなんですかね(^_^;

    ・宇宙関連法案が動き出した

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    4 thoughts on “・宇宙関連法案が動き出した

    1. お答えありがとうございます。とても勉強になります。でも、先生の上の書き込みは、2年前に有識者会議で、先生たちがドラスティックな宇宙庁構想をぶちあげた頃から、ずいぶん考えが変わられたなと思います。こう言っては失礼ですが、常識的になったというか、役人ぽくなったというか。いろいろご苦労されたのですかね。お疲れ様です。

    2. 常識的で役人っぽい、ですかw
      褒め言葉と受け取っておきます。ありがとうございます。
      僕の好きな銀英伝の一説に、「閣下に時代の変化を御理解いただきたい」といった一節が出てきます
      時代と共に変化が必要になった時、特に以前からの当事者は、従来のパラダイムから脱却できないことが時々あります。必ずしも現場の人間が状況を一番正しく認識しているわけでは無い。この事を理解できない・認めたくない事もあります
      そんな時、外からきた人がショックを与える必要もある。
      しかし、いざ時代が新パラダイムに向けて動き出した時、かっての当事者が、その新パラダイムを受け入れ、軌道修正をして進み始めた時、その人たちが一番、知識も経験もあるプレーヤーになります。
      かって僕もこの部分がわからず、何時、どうすればこのドラスティックな変革が起こるのか、政治家や官僚の方に聞いた事があります。担当大臣が、総理が、この変化を受け入れ、法案が通った時。この時に官僚はそちらに向けて走り出します。彼らは決して恣意的に動いておらず、法と政策の精神をいかに体現するか、これを行動規範としています。
      いま、まさにその転換期にあります。
      これまでは最良の政策方針・体制論がそれぞれの立場から、論じられてきました。
      それに終止符が打たれ、
      これから協力して新しいパラダイムの元で進むことが、もっとも大切なことだと思います。

    3. JAXAを文科省からとりあげて、宇宙庁を作ることを主張されていたのに、文科省の重要性が増すと今は主張されているには、矛盾しません?そもそも、文科省の宇宙政策に反対だから、JAXAの所管を変えるべきと主張されていたと理解していますが、その一方で、文科省の事業に加担するというのも矛盾していませんか?文科省の肩を持つ気はありませんが、矛盾している発言をされているようなので、書き込んでみました。

    4. いえいえ、文科省の宇宙政策に反対なんてしてないですよ。そんなデジタルな思考は持ち合わせていません。
      そもそも、僕は文科省の指導の下に運営されている国立大学法人の職員なので、もし僕が文科省の宇宙政策に反対なら、大学で宇宙開発活動に従事なんてしてないですよ。
      現在のメインプロジェクトが文科省プロジェクトであるということもあり、文科省の宇宙担当部署・宇宙政策部署とは密にコンタクトを取ってます。
      僕が今まで主張してきたことは、これまで文科省の視点からの宇宙政策が国家全体の宇宙政策として進められてきたけれども、財政難の中、「サステイナブル」な宇宙開発がそれでは実現できない。なので全体の意思決定機構を文科省の枠の下から政府全体の下に置くことを意図して、宇宙庁を作るべき、ということです。
      すなわち、「物差しが代わる・物差しが増える」ということです。これは文科省的な宇宙、経産省的な宇宙、外務省的な宇宙、防衛省的な宇宙、それぞれを辞めろとか言ってる話しではありません。これらをきちんと統合し、国家全体としての調整され統一した意思を持って行動する、ということです。
      そのためもちろん、新体制下でも別に文科省が従来進めてきた宇宙科学・宇宙工学・探査・教育は辞めるわけではなく、それはそれで続けるべきです。(ただし全体の案分を司令塔が見ながら、ですよ)
      そしてそれに加えて、ですが、今回の文章の意図は、「文科省設置法の枠内の活動でも、サステイナブルな宇宙開発にこういう形で貢献することが出来る」という意味です。(それはもちろん、文科省活動だけで必要十分と言ってるわけではありません、念のため)
      必ずしも文科省的な宇宙が従来の形の中に押し込まれることはなくて、他にも新たに(あるいは強化されて)活躍すべき・担うべき分野があるよ、ということです。
      成功・失敗だとか、AをやめてBだとか、二項対立で捉える人が多いのですが、物事はそんなに単純ではありません。

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