昨日、宇宙基本法フォローアップ3党協議会が開催されたと聞いていましたが、早速その内容がニュースとして出ているようだ。
「準天頂衛星」来年度本格導入を要求へ 超党派国会議員 防災力向上にも期待
日本版GPSの本格整備を=超党派議員
私もこの意見に賛成である。
まず最初に誤解の無いように書いておくと、今回の震災でも宇宙関連インフラはちゃんと活用されている(東京大学・岩崎先生まとめ これはリモセンだけですが、その他にも「きずな」等、通信関係ももちろん活躍している)。しかし一方でどうしても心残りなのは、『多くの衛星が「R&D」を目的として作られた衛星』であったことだろう。それらは実用機ではないため、観測頻度に難があったり、またデータを実利用する部分ときちんと結びついていなかった。データは取れてもそれを流す方法、活用する方法がまだまだ未整備であった。
特に残念だったのは準天頂衛星である。これに関してはいくつかあるが、
まずは1機しか打ち上がっていなかったこと。これでは8時間しか運用が出来ない。また次には通信機能を除いていたこと。当初は双方向通信機能を持たせることも検討されていたが、今回は搭載されなかった機能である。これらがもし実用化レベルになっていれば、そして我々の携帯電話に準天頂からの位置情報受信手段および双方向通信機能が備わっていれば、例えば津波の被害地に、個別の災害情報を一斉送信できたのではないか?と思う。
さらに言えそうなのは被災後、家屋に閉じこめられたりした人達が避難を求められただろうと言うこと。彼等の位置はかなり精度良く把握できたはずである。また双方向通信機能が有れば、被災者に「その場で待機」なり、「余震が迫ってる/津波が迫ってるから逃げろ」なり、通信が出来た可能性がある。これだけで多くの人命が救われただろう。また仮に家屋の下敷きになっていたとしても、準天頂衛星の場合はわずかな窓で通信が可能だった可能性がある。
また震災後、日本の国土がどのような変形をしたのか、我々はすぐに知ることが出来なかった。国土の変形を知ることにより、どのような歪みが大地に溜まっているのか、今後、どのような災害が予測されるのなど、多くのことがわかる可能性がある。準天頂システムを使った精度の良い観測は、それを容易にしたはずだ。
携帯電話がそのような端末に成り得るのか、また多くのSOS通信が発せられたときにどのぐらいの回線数が確保できるのかなど検討すべき課題は多いが、しかし我々はそれが可能になる技術の一端を確かに持っていたはずである。その実用化を急がなかったことが大いに悔やまれる。

今回の提言は、「3党」の国会議員による超党派議連から出ていることが非常に大きな意味を持つ。しかも、この超党派議連には民主では代表選にも出られた樽床議員、政府でも宇宙担当首相補佐官を務める細野議員、自民からは官房長官も務めた河村議員、公明からは佐藤茂樹議員などが参加し、事務局は主計局の経験のある岸本議員が務められており、発言力・実行力共に持った人達の議連であり、昨年7月頃から再び積極的に活動を展開している。また元々、宇宙基本法を成立させたのも、自民党時代のこの議連の集まりである。
一つには政権を担う可能性の高い3党の共同提案と言うことで、仮に現政権が転けたとしても、どの政党が政権を取ったとしても、この提言が実施される可能性は極めて高いといえるだろう。
次ぎに先にも書いたが、この協議会が宇宙基本法を作り上げたわけで、議員の方々の心中は「宇宙開発の実利用のために基本法を作ったのに、現状は後退してしまっているじゃないか。今回の震災のような悲劇を二度と繰り返さないためにも、協力に今回の提言を推進する必要がある」という気持で一杯だろう。
また政府関連予算は例年、8月末に各省庁から概算要求として財務省に提案される。各省庁では現在、それぞれ平成24年度の概算要求内容を精査しているところだろう。そうするとこのタイミングで出されたこの提言は、充分にそれに反映されるだけの時間的余裕がある。
これらのことを考えると、今回の提言、すなわち日本の宇宙が実利用、特に我々が常に直面している防災面に関して、準天頂衛星の実利用化の推進という形で、平成24年度の予算が変わっていくことはまず間違いないと私は思う。またそれは、有るべき姿だとも思う。日本が直面する問題に対して正面に向いて向き合おう。それが今回の提言だと思う。

宇宙から我々を照らす灯りとしての宇宙開発。それが今後、求められてくると思う。奇しくも準天頂衛星1号機の名前は「みちびき」であった。我々国民が安心安全に暮らせる未来を導く物と成って欲しいとおもう。しかしそれは箱物だけが重要なのではない。それをどのように使うのか、ソフト面も大いに求められている。

・宇宙からの灯り

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