なにやら今年度のはやぶさ2予算半減に関しては、こことかこことかここの記事から「秋山、トンデモねー」とのクレームが、直接じゃないけどなんか漏れ聞こえてきてたんですが、いやいや、別にとんでもないことは書いて無くて、そのまま現状を分析したんですけどね。
どこかで勘違いされているととっても悲しいのですが、今も昔も、僕は惑星科学が大好きだし、探査だってどんどんやりたいと思っています。
ただ、いろんなバランスを考えて、それをどうやってやり抜くべきかを考えなきゃね、と思っています。
またその上で、具体的な戦術はどうあるべきか、と言うのが先の3つの書き込みだったんですが、、、
まぁ良しとしましょう。他人に自分の意図が伝わらないとすれば、それは私自身の説明能力の低さに原因があるんでしょう。

一方、宇宙戦略室も立ち上がりましたが、古巣の惑星学会では引き続き、月惑星探査の来たる10年に関して、真摯で継続的な議論が続いています。
7月・8月・9月にも、様々な機会で話し合いがもたれるようです。
残念なことに私はそのタイミングで丁度別件が入って居るので参加できないのですが、執行部の方にはこのようなファイルを送りました。

言いたいことは以下です。
まず、理解すべき大前提は、もはや日本には十分な財源がないと言うことです。
確かに惑星科学もその他の科学・探査・技術も重要ですが、しかし十分な財源の裏打ちがなければ、それらを実施することは出来ません。
我々からすると「だって重要だもの」と思っても、国全体としては其所に投資する余裕がどんどん無くなってきている、ということを理解しないと、貧しい家で「おもちゃを買ってよ」とねだっているのと何ら変わらなくなってしまいます。

このような「我が家は貧乏だから」というのが支出減の圧力と成っているわけですが、同時に支出増の圧力と成る要素もあります。
すなわち、「宇宙産業は日本の将来を支える」という考え方と、「科学力・工業技術・探査の意思は日本のソフトパワーを高める」という考え方です。
現在、世界の宇宙利用分野は年14%もの伸びを示しており、このような高い伸びを示している産業分野はなかなかありません。
そのため、貧しい中でもこの分野に投資することが将来の稼ぎにつながる、というのが一つ目の理由です。
次ぎに世界の中で尊敬される国になることが、ひいては外交的な交渉の場において有利に働くという観点です。
昔で言えば原子力の保有であったり軍事力だったりした物が、それが今では科学力に置き換わっており、宇宙に関する科学力・工学技術力・また探査を行っていく意思の力の存在が、日本のソフトパワーを高める、という理由です。
このような理由から、貧しくてもこの分野への投資をすべし、という支出増の圧力が産まれます。

過去(NASDAとISASが別れていた頃)においては、このような『投資』の予算配分は、前者が9に対して後者が1の割合でした。
この割合が今後どうなるかは議論が必要ですが、新しくできる宇宙政策委員会、そしてそこで定められる宇宙基本計画の中で、決められていくべき事だと思います。
科学や工学、探査を推す側としては、まずはこの比率に関して一言、宇宙政策委員会や宇宙基本計画の成立過程に、物を申すべきでしょう。

次ぎに後者の内容について考えるとき、「科学力の向上」や「工学技術力の向上」といったものは、どちらも文科省設置法の範囲内の事業であると言えます。
これらは従来通り、宇宙研の理学委員会や工学委員会といったところで議論を行い、ボトムアップでミッション提案を文科省に上げていく事が今後も重要です。
しかし予算割合的には(とりあえず昔の割合で行けば)「1」の範囲に収まっている必要があります。

一方、探査を行う意思力の向上に関しては、これは従来の文科省設置法の範囲内の事業に加えて、いわゆる国策的な意義がある場合もあります。
これらは国全体のフラッグシップミッションとして、必ずしも文科省設置法の範囲内に納まる物ではありません。
この場合は予算は従来の「1」割合に留まらず、残りの「9」、あるいはそれ以外からも持ってこれる可能性があります。
今回の法改正は、そういった観点からの予算付けを可能にした(やりやすくした)改正です。
このような位置づけを狙う場合は、宇宙政策委員会に働きかけを行い、宇宙基本計画に「フラッグシップミッション」としての記載を行うことが重要です。
あるいは、宇宙政策委員会の中での議論で、そのような提言を引き出すべきです。

今後、我々がミッションを考えるとき、そのミッションは文科省への予算要求に留めるミッションと位置づけるのか、あるいは国策的なフラッグシップミッションとして、従来の枠を越えた予算要求(ただし予算配分としては文科省予算として配分されると思いますが)を行えるようなものと位置づけるのか、この二つを最初から明確に分けて考えてアプローチ先についても考える必要があると思います。

上記はおもに惑星探査に関して説明した物だけれども、これは天文だとか有人だとか、巨額な費用が必要となるビックプロジェクト全体に当てはまる内容だと思います。
是非、この機会に、議論が深まればと思っています。

・今後の大型探査プロジェクト

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