さて、松浦さんの記事物議を醸しているようだが、僕の意見はちょっと野田さんとは異なる。
これはいつもJAXA(旧宇宙研・旧NASDAも)周辺からJAXAを応援していて思うことだが、いっつもあるところですぱっと「あ、じゃ、これは後は中の問題だから」とはしごを外されてしまうことが多かった。そのたびに「結局これって、日本の探査機じゃなくてJAXAの探査機なんだ」とおもってがっくりしたものである。このへんは周辺業界も心得ていて、はやぶさが探査フェーズの時に惑星学会の広報委員の一人として「はやぶさの活動を広報しよう」とか計画を立てたことがあるのだが、そのときには惑星学会から猛反対を受けた。「はやぶさはJAXAミッション。それの広報を惑星学会がするなんて僭越」。なんだかなーと思った物だ。
それで今回の松浦さんの騒動だが、メールを公開するという方法論(もっとも今回は、実名で、かなりの広範囲に、それなりの効果を狙って投げているので私信と言うよりは公文書に近いと思うけど)はともかく、もはや私企業であっても企業活動の透明性に関しては色々と言われる時代に、税金で行われるミッションの決定過程、とくにはやぶさ後のはやぶさ2のミッション決定過程には、ある程度の透明性が求められるのは、これは当然だと私は思う。
私はなにも人気があるからはやぶさ2を実施すべしと言っているわけではない。実施する/しないを議論するにあたっては、はやぶさ2以外のミッションも考えつつ、その意義と問題点を明らかにし、その上で誰もが納得できるやる・やらないの議論をきちんとすべきである。もし松浦さんが今回、こういった発表をしなくて、またこのメールの主張が通ってはやぶさ2が実現しなかったとしたら、それは実に不幸な事態と成ったことだろう。
本来であればこういった反対意見もきちんと世に公表していただき、その結果どのような議論で結論が出たのか、それを明らかにすべきだと僕は思う。
で、あのメールに対する反論の一つが、実は僕の日記の6/11の記事だったりする。あの段階で僕はあのメールを読んでいたのであれを書いた。また、はやぶさリエントリーの生中継画像からこのblogにリンクを張らせた理由もここにある。(多くの人は僕の自己顕示欲がなせるわざと思ったかも知れないが・・・それは違います(^_^;)今後、あのメールが引き起こす議論の中で、はやぶさに関心のある多くの人にその反論をまずは知っていただきたい。そう思ってあれは書いた。おかげさまで3万人を越える人が読んでくれた。
また本日、まさに「はやぶさ2」の科学技術評価委員会委員長から談話が出ているので、以下に紹介する。こういったロジカルな議論が一つ一つ展開されて、はやぶさ2が実現するとしたら、それが一番幸せなことだと思う。

「はやぶさ2」を巡る議論

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One thought on “「はやぶさ2」を巡る議論

  1. もう1度611の記事を読み直して納得しました。
    1つのミッションが人生を左右するのであれば、次こそは
    これを、研究を、論文を、という気持ちは理解できます。
    しかし「お金は貰うけど口はださないで」というのは
    世界史の教科書に出てくる時代で終わってるはずです。
    少なくとも今の日本にはそんな余力無いですよね。
    政治家も学者のみなさんも、どのミッションにプライオリティ
    を着けるのか、よく議論してほしいですね。(時間はあまり
    なさそうですが。)人、金、時間に追われて常にギリギリで
    戦うのは辛いでしょうが、成功を目指し頑張ってほしいです。
    それと全ての国民が宇宙科学に理解を示すと思わない方が
    良いとも思います。有用性を説くよりも(勿論必要ですが)
    「サンプル入手に命を掛けて燃え尽きた、はやぶさの無念を
    はやぶさ2が晴らします」。この方がずっと受け入られる
    場合もあるでしょう。本当にやりたいなら、(突き放してる
    訳ではないのでご理解ください。高いモチベーション、情熱
    使命感を持って事にあたっていただきたいという意味です)
    バカバカしいと思っても何でもやるべきじゃないでしょうか。
    先生は、はやぶさ帰還を喜ぶ、おそらくは科学とは無縁の人々
    (私もその一人です)を見てどう思われますか?
    長々とすみません、これでも一応応援メッセージのつもりです。
    それからこちらや、リンクされた記事は面白いし色々勉強に
    なりました。和歌山大の先生、ありがとうございます。

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